著者:有園正俊 公認心理師
精神のはたらきで、自分ではコントロールが難しい、ずるずると流されやすい部分とのつき合い方をまとめました。精神や感情の安定、自己肯定感(もしくは自尊心self-esteem)をもつことに役立つポイントです。
やろうと思っていたことができなくて、落ち込んだり、自分が嫌になったことはありませんか?
計画をしても、できなかった体験が積み重なっていくと、自分への自信が減り、否定的な思考が増えていきます。=悪循環
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自信は、考え方だけ変えようとしても、育ちにくいものです。
小さなことでも、自分との約束を守って、できた体験を重ねることで、自信や自己肯定感がついてきます。
ただし、このページは、
・所持金や収入が乏しいために、困窮している。
・家族や誰かとの対人関係でストレスを抱えている。
というように、自分以外の人や、お金のような社会が関わる問題で、自己肯定感が持てない場合は除きます。
2-1)少しでも手を付ける。(行動化)
全部きちんとできなくても、ほんの少しずつでも、手をつければ、まったく何もしないで、もんもんと過ごすよりましです。頭だけで考えていないで、少しでも、行動に移します。
その日に行うことは、最初は1つでも、2つでもいいです。
先延ばしして、溜めていたものを、一気に片づけようとすると、無理があって、達成することが難しくなることもあります。
そのような場合、部屋の片づけという大まかな目標ではなく、
例;
机の上の空き缶を1つでも捨てる。
自宅から数メートルでも外に出る。
というように、片づける場所を、細かく限定してもいいです。
このように、予定を細切れにすることをスモールステップといいます。
とにかく実行することが優先です。
それで、簡単にできたら、その後で、やることを徐々に増やしていけばいいのですから。
2-2)回避、先延ばしはダメ。
本来やるべきことを、避けたり、先延ばしたりしていると、やるべきことに取り掛かることが、よけい苦手になってきがちです。
通常は、学校や職場に通う人は、それらを行ってから、趣味の時間を過ごすことになり、その方が、精神的にも健康を保ちやすいわけです。そのため、その日のやるべきことをしてから、趣味の活動をします。
精神症状を抱えている人は、大きな決断が難しいことがあります。しかし、大きな決断でも、延ばし過ぎてはきりがないので、無理をしない範囲で、できれば他の人と相談しつつ進んでください。
2-3)紙、手帳に目標を書いて、実行したものを、赤線でチェックを入れる。
予定に入れたことは自分との約束です。
それを紙(手帳、日記、メモ帳でもよい)に書きます。
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実行したら、赤線などで、チェックを入れます。
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このような行動を毎日続け、チェックが付いた記録を溜めていくと、自分の変化が実感できます。(セルフモニタリング)
始めるまではおっくうに思えても、「何だかんだ」過ごしてみましょう。!(^^)!
2-4)自分を現状を受け入れる。(受容)
病気を抱えていたら、元気な頃ほど、スムーズに動けないことがあります。
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このように、自力では、すぐに変えることが難しいことはあるものです。
このような現状を踏まえて、できることを探します。
2-5)気分の波があっても当たり前
・昨日より、うまく行かないことは、誰でもありますが、精神の病気をかけていると、よりその影響を受けやすくなります。
波が大きいときは、あまり無理をせずに現状維持をし、
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波が和らいだら、ささいなことでも、やる目標を立てて、取り組むようにします。
そのようにリセットして、再スタートします。
このようにして成功体験を、徐々にですが蓄積して行きます。1日1日の好不調にとらわらないで、数ヶ月、半年、1年という単位で、ながめてみてください。
できなかった部分に、目を向けてとらわれるのではなく、例えわずかでも、今までできた部分を大事にします。
将来のことを計画するのはいいのですが、否定的な感情にかられて、将来のことをあれこれ心配するのはお勧めしません。それよりも、「今、今日できること」に目を向けます。