1-3.きれい好き、潔癖症、強迫症(OCD)の違い

強迫症、強迫性障害という病名が、あまり知られれていないため、潔癖症と混同されたり、病気の特性を誤解されることがあるようです。
しかし、自分の行っていることが、苦痛コントロール困難であるのであれば、病気の可能性があり、医学的な知識を得ることが大切です。

*新型コロナウイルスのように、通常とは異なる感染する病気が流行っている状況では、平常時よりも洗浄、除菌が増えたり、危険性のある場所を避けることは、無理もありません。新しいウイルスのため、どのように感染するのか不明な部分があれば、対処に個人差がある程度、出てしまうのも自然なことです。
強迫症、強迫性障害での行為は、現実的には意味をもたない、客観的に見て明らかに過剰な場合です。[1]

1)用語

きれい好き

自分の家、部屋、持ち物、身体、衣服などに汚れやゴミがたまらないよう気を配り、片付いている状態が好きで、実行している人です。
きれいかどうかは、通常は、見た目で判断できます。

潔癖

不潔なものを極度に嫌う性質。(デジタル大辞泉より)

潔癖性(しょう)・・・潔癖な性分、気質を持つ人です。
潔癖症(しょう)・・・主に潔癖が病的な場合だと思いますが、正式な病名ではなく、俗称です。潔癖症と言われる人の中には、下記の強迫症の人も含まれると考えられます。

強迫症/強迫性障害(Obsessive-Compulsive Disorder:OCD)

正式な精神疾患名です。OCDの表れ方で、汚れや不潔が気になり、掃除や除菌が過剰となってしまうタイプがあります。そのタイプ名が、下記の不潔恐怖、汚染恐怖です。
OCDになると、苦痛を感じたり、掃除や除菌をしないではいられない衝動が生じるようになります。また、日常生活や、学校や仕事に就くことに支障をきたすようになります。

不潔恐怖・汚染恐怖

正式な病名ではありません。OCDの症状の表れ方のタイプとして、このように呼ばれることがあります。
OCDでは、不潔だと思うものに出合ったとき、恐怖を感じる人もいますが、恐怖感はそれほどなく、嫌悪、不安、怒りなどの感情が生じる人もいます。
ただ、不潔、汚れだと思う範囲が、世間一般の人と異なる場合があります。

潔癖と強迫

2)潔癖な性分と強迫症(OCD)の比較

共通な点

1)不特定多数の人が触るであろう物が苦手

電車の手すりや、エレベーターのボタンのように、他の人なら問題なく使っているものでも、目に見えない汚さ、汚染物質を想像して、避けたくなる人は潔癖でもOCDでもいます。どうしても触らなくてはいけない場合、指の裏面やティッシュ越しに押す人もいます。

2)時間や手間がかかる

いずれも時間がかかったり、念入りに行うことはあります。これらだけではOCDかどうかは、判別できません。どのような動機で、そのような行為をするかが重要です。

異なる点

1)自分が好んで行っているか?

きれいで片付いているのが好きで、自分がやりたくて行っているのなら、OCDとは言い難いです。OCDの場合、自分の意志がないわけではないのですが、自分の意志に反して、洗浄や除菌をやらざるを得なくなっている面もあります。そして、OCDでは、苦痛があることが診断基準の1つです。

2)コントロールできるか?

OCDでは、自分の意思に反してやらざるをえないような衝動に駆られて、洗浄や除菌の行為を行ってしまいます。また、少しでも違和感、どこまでやったかわからないような不確かさがあれば、やり直したくなってしまうことがあり、コントロールが難しくなるのもOCDの特徴です。

3)OCDでは間接的に触れたものまで汚く思える

OCDでは、汚れや汚染物質がついていると、他の人には思えないものまで、ついていると思う場合があります。
また、汚れがついたと思えるものに触れた手で、他の場所をさわると、肉眼で汚れが見えなくても、細かい汚れがつているように思えてしまいます。そのため、見えない汚れがさらに広がってしまうことを想像して、それを防ぐためには手洗いや掃除をしないといけないという衝動に駆られてしまいます。→参考:2-8. 汚染/洗浄(不潔恐怖)の場合

4) 自宅がきれいとは限らない

一般に、潔癖というと、室内にゴミや汚れがほとんどなく、物が片付いている様子を思い浮かべます。
OCDの汚れが気になるタイプで、そういう人はいなくもないのですが、OCDでは、特定の汚れ・汚染物質にばかり注目して、その洗浄や掃除に時間がかかるため、それ以外の部分は、汚れたものが放置されていたり、物が片付かないままになっているケースも多いです。
例:
自宅の外は汚いと思っているタイプでは、自宅に入るときに、外で来ていた服を着替えたり、カバンなどの持ち物を拭いたり、入浴しないではいられないことがあります。しかし、室内は、掃除が行き届かず、散らかっていてもそのままという場合があります。
自分の部屋では、強迫行為をできないものが溜まってきて、寝る場所がなくなり、リビングで寝ざるを得なくなる人もいます。

大事な点

1)他人と合わせられるか?
潔癖でも強迫でも、汚れ、きれいさについての判断・ルールが、周囲の人と異なることがあると思います。そのような場合、相手とどう調整できるかが大事です。
家族だからといって、自分のやり方を押し付けてしまうと、相手にストレスをもたらしかねません。かといって、自分のやいたい欲求や感情をどのくらい押さえられるかは、症状や性格の度合いによります。
その場合、自分のルールで出来る範囲を相手や家族と取り決めることになるのですが、それが一方的にならないで、なるべく円満に出来るといいと思います。

参考文献

[1]American Psychiatric Association [著]「DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル」(2014)

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