1-6.OCDと性格、他の病気との鑑別

著者:有園正俊 公認心理師

[1]性格・パーソナリティとの違い
[2]他の病気との鑑別
[3]OCDに関連した疾患

[1]性格・パーソナリティとの違い

強迫的な性格強迫性パーソナリティと、強迫症/強迫性障害(OCD)とは区別されます。元々、強迫的な性格が高じてOCDになる割合はそれほど多くはありません。

・元々、強迫性パーソナリティ、自閉症スペクトラム障害を持つ人が二次的にOCDになった場合、発症前と後とで、症状の違いが大きければ、病気だという自覚(病識)を持つ場合があります。しかし、OCDの症状が、元々の性格によるやこだわりのによる行為が高じたタイプでは、自我違和感が乏しい場合もあります。

[2]他の病気との鑑別

・OCDの表れ方は、個人差が大きく、人によっては、他の精神疾患との区別が難しいことがあります。

1)統合失調症での幻聴や妄想では、頭の中で他の人の声が聞こえる、他の人に見られているように感じらことがありますが、強迫観念では、自分の心の中だけで生じているという自己の一体感は保たれています。
しかし、患者さんの中には、他人とはっきりとは言えないが、人か何かわからない者が命令してきているような頭の中の考えに苦しむ患者さんが、強迫症と診断されていることもあります。その場合、自己の一体感が崩れ、統合失調症などの精神病にならないよう、注意をする必要がある場合があります。

2)自閉症スペクトラム障害でのこだわり、感覚過敏と、OCDの区別が難しい場合があります。

3)(限局性)恐怖症とOCDの違い
恐怖症は、虫、爬虫類のように特定のものが存在する場合、高所、飛行機、閉所、雷のような実際の状況に対して、強い恐怖、不安が生じ、生活に支障をきたします。
恐怖症でも、虫や爬虫類っぽく見えるものまで、恐怖を感じることはありますが、視界や聴覚のように感覚にとらえたり、その状況に居合わせた場合です。以前、ヘビが通った場所に汚れがついているように思える、すれ違っただけで、もしぶつかって大けがをさせた場合を恐れるとなると、記憶や想像のような思考によって、恐怖がもたらされているので、OCDの強迫観念が疑われます。
また、恐怖症でもOCDでも、恐れるものを回避し、安全かどうかの確認をすることがあります。また、いずれの疾患でも、本人が嫌なことを避けていて、家族が代わりに配慮してあげていると、強迫行為がわかりにくい場合がありますが、それを調べることが鑑別には必要です。

4)身体症状が伴うOCD
OCDの症状は、強迫観念と強迫行為ですが、それだけというわけではありません。これらの症状に、身体症状が伴う人います。
例:心臓がドキドキする、息苦しくなる、汗をやたらかく、赤面する、なかなか眠れない、頭痛、腹痛・・・
また、手や肌の洗いすぎで炎症を起こす、トイレを我慢し過ぎて膀胱に異常が出るような二次的な症状が現われる人もいます。

5)快楽、好奇心によって繰り返す行為は除く
アルコール、ギャンブル、ゲーム、買い物への依存のように、快楽を得るための衝動によって、繰り返される行為は、OCDとは区別されます。
OCDでは、嫌な思いや感情をもたらすものを、なくしたい衝動によって行為が行われます。
その区別が難しい例を次に示します。
1)物を拾い集めたり・買いすぎてしまうのが、物を獲得したときに快楽的な感覚が得られるのでしたら、OCDとは言い難く、OCDでは、この機会を逃すと二度変えないのでは、後で後悔するかと思うと買わずにいられないような動機によります。
2)インターネットでの検索や、他人に質問する際も、好奇心や、より良い情報を手に入れたいというような欲求が主であればOCDとは言い難く、不安の解消や後悔をしないようにというような否定的な状況になることを防ぐための行為であればOCD的です。

[3]OCDに関連した疾患

・強迫的な症状が見られる精神疾患は、OCD以外にも、いくつかあります。
例:発達障害、社交不安症(対人恐怖)、摂食障害、双極性障害、統合失調症、依存症、強迫性パーソナリティ障害、PTSD・適応障害など。

・強迫スペクトラム障害
強迫に似た症状がある精神疾患をグループとして分類した呼び方です。[1]

OCDに関連した病気の一部は、TOPページ>精神科全般>3 OCD関連疾患・状態に簡単に解説してあります。

・その関係は、下図のようです。 

OCDと関連疾患

[4]うんちく・メモ

・スペクトラムというのは、7色の虹の光が、色の境目がなくつながっているように、病気の境目がはきりせず、連続しているという意味です。 その他に、自閉症スペクトラムという用語もります。

参考文献

[1]原田誠一編「強迫性障害治療ハンドブック」金剛出版(2006)
[2]こころの科学104 強迫 日本評論社2002
[3]ギャビン・アンドリュース他「不安障害の認知行動療法(3)不安障害から回復するための治療者向けガイドと患者さん向けマニュアル」星和書店

タイトルとURLをコピーしました