5-5.微小な物質はどこにでもある

(2013.9.22)

汚れが肉眼で見える量であったり、汚染物質が環境基準を超えていれば、誰もが嫌ですし、不安になります。しかし、強迫性障害(OCD)で気になる人は、汚れが目に見えないで実際に付いているかどうかもわからない量、汚染物質が環境基準よりはるかに少ない量でも、付いていることを想像して、心配します。

しかし、空気中には、ありとあらゆる小さな物質(気体、液体、固体)が含まれています。物質は、ある程度以上、小さくなってしまうと、風に舞ってしまい、小さいものほど、空気中に漂ったままになるためです。

それは、あらゆる物の表面にも付いています。
その大きさは、肉眼で見えるすぐ舞い上がるほどの細かいゴミから、肉眼では見えないものまで様々です。

主な微小物質

動物(虫、ダニを含む)の細胞、分泌物の破片、死骸の残骸、フン、細菌、ウィルス、
植物細胞の残骸、花粉、繊維くず、カビ、たばこの煙粒子
砂塵、土、火山灰、黄砂
工場などから排出される物質、自動車の排出ガス
金属、無機質(塩など)、炭化物質、有機物質、イオン成分
水(湿気)などの液体
気体(窒素、酸素・・・)

つまり、排泄物も、ばい菌も、目に見えない粒は、空気中やあらゆる物の表面に付いています。地球の大気圏外や、人工的に無菌室を作らない限り、存在します。

そして、私たちは、常にそういう物質を呼吸で吸っているのです。

外の空気中にある物質は、室内にもあって当然です。ただ、含まれる物質の割合が異なります。

室内塵(ハウスダスト)・・・室内に浮遊する空気中の目にはほとんど見えない微粒子。室内のほこりやダニのカスなどが、外よりもいくらか増えます。

微小物質と大きさ

実際の物質(汚れ)は原形を留めるのは難しい

・目に見えない物質は、さまざまなものが含まれ、どこにでもあります。そのため、どのような物質でも、空気中に放出された後は、拡散し、他の物質と混ざり合い、その物質だと特定することは難しくなります。

・生物の死がいや排泄物は、やがて乾燥したり、濡れたり、そして、原形をとどめない姿に壊れてしまいます。

・細菌は、体の外に放出されると、そう長くは生きられません。体内にいたときのような温度、湿度、栄養が保たれた過ごしやすい環境ではなくなってしまうためです。ウィルスは、細胞ではないので、死といえるかわかりませんが、動物の細胞に寄生しないと、その機能が発揮できなくなります。

・路上の物質は、他の人が踏んだり、風雨にさらされて、さらに現状を留めていないこともあるはずです。

OCD患者さんのとらえ方の特性

・汚染、不潔の強迫観念がある人は、自分の気になる物質だけが気になります。血液、排泄物、ツバ・・・。それらは、肉眼で見えないレベルの大きさでも、OCDの人の頭の中では、その小さな粒があるように思えます。しかし、実際は、そのような物質がそこにあるのかも確認できないこともあるでしょうし、もしあったとしても上記のように、他の物質に混ざって、その物質か判別できないような存在になっています。

上記の粒の大きさの表で1cmに対し1ミクロン(0.001mm)は1万分の1です。つまり、10メートルに対し、1mmと同じ比率になります。そこで、10メートル四方の大きな砂場に、小さな別の粒(直径1ミリくらいのたとえば塩、鼻くそ・・・)一つを落としたとします。それでも、その粒は、塩や鼻くそとしての機能を発揮できるでしょうか?そもそも、塩や鼻くそに類似した目に見えない物質は、上記のように元々、砂の中にある程度、自然に含まれていた可能性があります。

OCD患者さんの強迫観念では、恐怖や不安が先だって、この比率がバランスを崩して、現実離れしてしまいます。

・OCDの患者さんは、見た目、何ともないものでも、危険・汚れたという感じがするから、ついそれをなくしたい衝動にかられます。しかし、それは、あなたの頭の中で考えたことの記憶、感じた感情、感覚です。実際の危険性があるわけではありません。
たとえば、4日前に鳥のフンが落ちていた場所がったとします。4日たって、もう見た目には原形を留めず、既に多くの人が踏んだり、風雨にさらされ、掃除をした人もいるかもしれませんが、OCDの人には4日前に見たという記憶は変わらないため、気になる場所のままということがあります。

・実際の物質は、上記のように拡散、変化するのですが、OCD患者さんの頭のイメージ・記憶は、実際の物質とは違い、拡散しません。他の人がさわった場面を見てしまうと、気になるが、自分が目にしなければ平気という人は多いです。

記憶と、実際との違いに気付いてほしいと思います。
OCDは、このような錯覚を使って、患者さんにもっともらしく信用させてしまう詐欺師のようなものです。

用語

埃(ほこり)・・・どちらかというと繊維のような綿ぼこりを含んだもの。
塵(じん、ちり)・・・非常に細かく粉末状に砕けた粉末の破片。
粉塵(ふんじん)・・・粉のように細かく空気中に浮遊する塵(ちり)状の固体の粒子。ミスト(液滴)・・・微小な液体粒子が空気中に浮遊しているもの。形状は球形をしている。硫酸ミストなど。
浮遊粒子状物質(SPM)・・・粒径10μm以下のもの。

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