著者:有園正俊 公認心理師・精神保健福祉士
毎年10月第2週は、強迫症(OCD)を多くの人に知っていただくための1週間です!
今年は、
2024年10月13日(日)-19日(土)
OCDサポートでも、この期間、X(元Twitter)で、いつもより多めにメッセージを発信します。
[1]イベント
[2]目的と経緯
[3]自分でもできる情報発信
[4]awarenessの翻訳
[1]イベント
日本でも、インターネットを使ったイベントが企画されています!!
2024年10月11日(金)から 強迫症を隠して生きる高校生を描いた映画「悠優(ゆうゆう)の君へ」がアップリンク吉祥寺で公開予定!
10月11-13日、上映後トークイベント開催。13日はOCDサポートの有園も登壇予定。
映画のパンフレットに、2ページ原稿を寄稿しています。
公式サイトは、ここ。その後、全国のいくつかの映画館でも上映される予定です。
2024年10月13日(日)午前10:30-12:00
『OCD当事者・家族の多様な“自助”のかたち―東北・関東・関西の3自助会によるトークラジオ』
zoomを使った音声での座談会。(ラジオとありますが、誰でも聞ける放送ではありません)
定員:50名(先着順)、事前申し込み制。
主催:東北OCDの会、強迫友の会OBRI、東京OCDの会
10月20日(日)10-12時
OCD-Japan主催 OCDウィーク・オンラインイベント2024
ミニレクチャー
「子どもの不安・強迫症について」紺谷恵子医師、「親の視点からみた子どもの不安・強迫症の改善」新明一星心理士
チケット制(詳細と申し込みはPeatix)、zoomによる見逃し配信(1ヵ月)あり。
[2]目的と経緯
強迫症(OCD)は、まだ世の中の人々に、それほど知られた病気ではありません。しかし、実際は患者数は少なくなく、重症となって苦しんでいる人も多いのです。
そのようなOCDを、多くの人に知っていただくために、アメリカで始まったのが、OCD Awareness Weekです。アメリカでは、国際強迫症財団(IOCDF)という団体を中心に、多くの団体、個人が会場やインターネットを通じて、イベントや情報発信を行います。
IOCDFのawareness weekページは、ここです。(英語ですが、YouTube動画などあり)
その他の国・地域でも、この1週間に、多くの人がOCDに関連した活動をします。
日本でも、OCDは、まだあまり知られていません。
OCDが重症になったときの深刻さ、患者さんだけでなく家族も大変な状況になってしまう人たちがいるということも、当事者以外には、あまり知られていません。
そして、OCDにくわしい医師・心理師もあまりいないため、患者さんが出合えずに困っている状況も、なかなか変わっていきません。
そのような状況を改善するためには、イベントに参加するだけでなく、皆さんが声を上げることが大事です。(^○^)
[3]自分でもできる情報発信
インターネットなどを使って、自分でも他の人に情報を発信することができます。
[案1] 自分や家族がOCDにかかった体験を書いて、社会に発信する。
・OCDによって、大変なこと、困っていること、他人に理解してもらいにくいこと、そんな体験談を文にしてみます。短い文章でも構いません。
・画像(写真、イラスト、動画など)を用いてアピールする。
発信する方法と宛先:
1)テレビ、ラジオの番組、新聞、雑誌の読者向けの欄に応募する。もしくは番組でOCDを取り扱ってほしいとリクエストをする。
2)SNS(X(元Twitter)、Line、Facebook、instagram・・・)などを使って、メッセージを書いてみる。
OCDサポートでも、X(元Twitter)に、画像やメッセージを載せています。
皆さんが、Xにメッセージを載せたことを教えていただければ、リポストできるかもしれません。
例1:文字だけでなく、写真や画像を載せる方法もあります。
例2:衣服やバッグにメッセージを添えた姿を、写真に撮ってSNSで発信します。
[案2] 行政(国、都道府県、市区町村)の医療、保健関連の部署で、住民からの声を聞く窓口があれば、そこにOCDで困っていることを文章で伝える。
例:「私は、強迫性障害という病気を抱えていて、仕事もできなくなり、家族とともに困っています。今まで、地域の医療機関で薬物療法を受けてきましたが、改善できませんでした。強迫性障害への専門的な治療として、認知行動療法が有効だそうですが、私の住む地域では、そのような治療を行っている医療機関が見つかりません。この地域の住人でも、認知行動療法が受けられるような支援をご検討いただけないでしょうか。」
<フリー画像>———————————————-
ここから下の画像ファイルは、自由にダウンロードして、お使いください。
・バナー画像(400*147)Twitterやラインなどで、使ってOK。
[4]awarenessの翻訳
OCD awareness weekという文脈での、awareは、英和大辞典によると「2(分野を示す副詞を前に置いて)<人などが>‥の消息[事情]に通じている、(環境問題などを)意識した」という意味の形容詞です。awarenessは、その名詞形で、OCD(の問題)を(人が)意識するようになることという意味です。
語呂のいい名詞がないので、「啓蒙」という言葉を用いる人もいます。
しかし、啓蒙とは、近代以前の人々が教育を受けることが不十分であった時代に、国家や教会などが、そのような人々に、正しい知識を教えてあげるという上下関係を含んだ意味を持ちます。啓は「開く」、蒙は「暗い」という意味で、英語ではenlightenment。ですので、awarenessの訳語としては、現代では意味がずれてしまいます。
そのため、ここでは、わかりやすく「知る」と訳しました。名詞にこだわるのであれば「周知」の方がましな訳だと思います。
参考:
編集委員会(1993)「小学館ランダムハウス英和大辞典 第二版」p187
ジョン・ロバートソン(2019)「啓蒙とはなにか」
兵庫県 広報ガイドライン(2022)>「「啓蒙」から「協働」へ。~ユニバーサル社会づくり 啓発ポスター~」