2-6.行動療法2 曝露反応妨害のポイント

[1]基本姿勢

1)動機—初心忘れるべからず。

病気の苦痛が今のまま、続くのがいいですか? vs それとも、勇気を出して、挑戦した方がいいですか?

治りたい気持ちと、治療をためらう気持ち、両方あるのは自然なことです。

治療を止めたくなったとき、病気を治したいと思った動機、改善できたら何をしたいかを思い出してください。

2)独自の方法ではなく必要なポイントを踏まえる

強迫行為は、OCDではない人はしない、独自な部分があるはずです。

独りよがり(=根拠が不確かな独自の考え、行動)を自分に許してしまっている限りは、OCDの思うつぼです。
治るのに必要なのは、コツではなく、ポイントを踏まえることです。


[2]曝露反応妨害のポイント

1)強迫観念と闘わない

「強迫観念が現れだしたと感じたら、逆らわないでください。強迫観念を迎え入れて、そのまま放っておきましょう。強迫観念を受け入れたのですから、それを消すために闘う必要もありません。 つまり、強迫観念を受け入れることが、儀式行動(強迫行為)を起こしたいという強い衝動を消し去ることになるのです。」[2]p124-125
これは、森田療法でいうあるがままです。逃げも、打ち消そうともしません。
・「強迫観念のパターンを変えたければ、たった一つ「強迫観念と闘わない」ということを覚えておきましょう。」[2]p160

2)曝露反応妨害は、単なる我慢ではない

ただ我慢するだけでは、症状が重い人ほど、なかなか慣れていきません。

受け身ではなく、むしろ自分から不安や苦痛に積極的に抱えるような行動をしていきます。

例:
今まで避けていたものは避けないで、近づく。
さわりたくないものは、さわる。
一つさわれたら、次の物にもさわる。
汚れの範囲を広げ、自分の聖域まで汚す。
加害の罪に自分から染まる行動をする。

本[2]p199-200には、
1.儀式行動をしないと決めることは、自分の不安と正面から向き合い、儀式行為をしない苦痛から自分を守ることをやめると決意することです。必要なら、あなたは進んで不安になるでしょう。・・中略・・不安から逃げるのではなく、むしろ近づいていかなければならないのです。

2.(曝露反応妨害法を実践していく過程で)自分の強迫観念がいかに不合理であるか、必死になって苦痛を避けようとするのがどれだけ意味のないことであるか、そして、最悪のシナリオが実現することはほとんどありえないということに、だんだん気づいていきます。[2]p217

それを続けることで、嫌な感情や衝動は時間とともに鋭さが減っていくことを体験します。

3)記録をつける

強迫の症状をもたらす刺激(S)・状況、時間、回数、SUDなどを記録します。
基本的な方法では、一回の曝露妨害の中で、効果がすぐには実感できにくいので、SUDsを数分おきに何点か調べます。開始直後は80点、15分後に75点、30分後に60点・・・という具合です。
記録は、できるだけすぐに記入するといいです。

4)十分な時間をかける

曝露では、1つの課題で反応がなくなるまで、刺激を与え続けることと定義されますが、実際の治療では反応が0になるのは困難で、一般には、反応の苦痛度(SUD)が半分以下になるまでを目安に、嫌な刺激を抱え続けます。

本[1]p82
「重要なポイントは、不安が解消し始めるまでエクスポージャーを続けるという、ET(曝露療法)の目標を達成できるかどうかである。」
「妥当な指針としては、最初の(もしくは最も高い)SUDs得点の50~60%の減少であろう」

本[2]p251
「1つの項目を実践するたびに、少なくとも苦痛度が半分に減るまで、あらかじめ決めておいた状況やイメージと向き合ってください。」
「苦痛度がはっきりと低下するまで、一定の状況やイメージに対する実践を繰り返しましょう。「毎日、最低1時間から2時間は実践してください。」

本[3]「エクスポージャーである(Westen, Novotny et al.,2004)。その原則は、時間と頻度を十分にかけること(最低でも30分以上。問題によっては2~3日)」。
・苦痛度(SUD)が減らない場合、何らかの強迫行為を行っていて、きちんと曝露を行えていないことが考えられます。

感覚は、最初は新鮮だけれど、時間とともに新鮮味が薄れていく性質があります。
おいしいものでも、食べきれないほど食べていれば、だんだん嫌気がさしてくるのに似ています。曝露反応妨害によって、十分な時間を嫌な感覚を抱え続けることで、次第に感じられ方が鋭さを失い、強迫衝動の勢いが次第に減っていきます。

5)反応妨害を徹底させる

逃げやごまかしの動機で、実は肝心なことを避けていたり、行動療法を終えたら思いっきり手を洗えばいいなんて考えていては、反応妨害は不十分になります。

初回の曝露反応妨害では特に、できれば治療者と一緒に時間をかけて行えると理想ですが、日本の医療機関では、それだけ十分な時間が割けないことが多いです。

・思考停止、思考中断法は効くか?・・・強迫観念や強迫思考を、振り切るために、治療者が大声を上げたり、手首の輪ゴムをパチンと鳴らしたりして、中断を強行する方法です。これは、ある程度うまく行く場合もありますが、観念に対する反応となってしまうので、根本的な解決にはなりにくいというのが、よくある説のようです。[5]

[3]1回の曝露反応妨害の後

1)曝露を終えても反応妨害を続ける:
曝露を終えても、通常は、もやもやした衝動や、中途半端な感じは、ゼロにはなりません。ゼロにならなくても、もっと強迫行為をしたいという思いが残ったまま、もしくは振り切って、次の行動に移るという感じです。

行動といっても、家事でも、音楽を聴くでも、勉強でも、歩くでも何でもいいのです。 病気ではなかった頃に比べて、効率が悪く、半分もできないかもしれませんし、楽しめないかもしれません。しかし、なるべくそれを行います。

そのような他の行動が難しいようであれば、まだ曝露か反応妨害が十分でないということなので、再び曝露反応妨害に戻ります。

2)続ける

課題を克服するためには、ほとんど毎日、曝露反応妨害法の課題を行う必要があります。
とりあえず、1回できたら、3日続けます。そして、1週間、3週間と続けることを目指します。
しかし、週3日課題を行って、あとの4日は今までの強迫行為をするみたいに、やったり、やらなかったりでは、効果が現れにくいです。脳は変わらないためです。

3)うまく行かない場合

曝露か反応妨害のポイントを踏まえずに、どこか間違った方法をしている可能性があります。自分では、どこが間違っているかわからない場合は、専門家を探して、相談してください。

参考

[1]ティモシー・A・サイズモア著「セラピストのためのエクスポージャー療法ガイドブック」創元社2015年
[2]エドナ・B・フォア博士&リード・ウィルソン博士(片山奈緒美訳)「強迫性障害を自宅で治そう!」VOICE
[3]原井宏明「対人援助のための認知・行動療法」p4
[4]リー・ベアー「強迫性障害からの脱出」 晶文社
[5]スタンレイ・ラックマン著、監訳者作田勉「強迫観念の治療」世論時報社(2007)p23

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