3-1.どこに受診すればいい?

著者:有園正俊 公認心理師

強迫症/強迫性障害(OCD)で、受診先を探すにはどう判断すればいいのかを、ケースに分けてフローチャートで紹介します。精神科関係の医療機関、心理カウンセリングなど、精神医学、心理学に基づいたところを選びましょう。
精神科全般>4-1.医療・保健の施設を探すには4-2.精神療法・心理相談を受けるには
もご参考にしてください。

A.一般的なOCDのケース

地域の精神科クリニック・病院の外来で、診断してもらう。

下向き矢印

しかし、精神科の多くでは、薬物療法、簡単なアドバイス程度のところが多い。

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最初の医療機関で、精神症状が改善しない場合:
OCDにくわしく、適切な
薬物療法
行動療法・認知行動療法
の併用、もしくはいずれか
(ガイドライン[1])
を行っている医療・心理の施設を探す。

地域に、専門療法を行っている施設がない場合:
オンラインでの遠隔療法を行っている施設を探すか、遠方の専門家を探して受診する。

1)医療・心理・相談機関の検索
検索キーワード「強迫性障害、強迫症、認知行動療法、行動療法、カウンセリング、専門、」を用いて、次のページから探してみてください。

1.医療・心理機関リスト 強迫性障害

2.臨床心理士に出会うには
臨床心理士のいる相談機関を探すことができます。「サイトをご利用の皆様へ」をお読みの上、利用してください。都道府県、神経症、行動療法、認知行動療法をチェックします。


*OCDへの行動療法、認知行動療法を行えると自称する専門家でも、技術レベルは様々です。

2)患者会・自助グループ(3-3.リンク)に参加し、他の人はどうしているかヒントを探す。

・OCDへの認知行動療法は、通常の医師の診察時間とは別の時間枠で、個別もしくは集団療法で行います。
・現状では、OCDへの認知行動療法は、自由診療(保険外)で行っている医療機関が多いです。保険診療として認められるには条件が厳しく、保険で受けられる医療機関はわずかです。

B.その他のケース

B-1)入院

入院で、OCDへの専門療法を行っている病院は、全国でもわずかで、探すのは、とても難しい。
しかし、家族への巻き込みが激しい場合、専門療法を行っていなくても、精神科の病院に入院することで、家族との距離を一時的に開ける方法が考えられる。

B-2)妊娠・授乳期

・マタニティブルーのようなうつ症状や、強迫症状が生じることがある。
・ガイドライン[1]p40によると、薬なしのCBTを推奨している。

下向き矢印

医療・心理機関リスト 強迫性障害 などで、OCDにくわしそうな医師を探す
・出産・子育ては、大変な作業なので、地域の保健所や子育て支援センターなどで相談する。

B-3)18歳未満(児童、思春期)

・ガイドライン[1]によると、思春期前の小児には、最初に薬なしの認知行動療法を推奨しているが、日本の児童・思春期の精神科の大半では、薬物療法のみ。

医療・心理機関リスト 強迫性障害 などで、大人向けでもいいから地域でOCDにくわしそうな医師を探す。
・小児精神科、思春期専門外来などを利用する方法もあるが、OCDにくわしい治療者は少ない。

B-4)発達障害

発達期(おおむね18歳未満)に、脳の機能的な問題が原因で起こる障害で、自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)など。
発達障害を元々抱えていて、2次的にOCDを発症することがある。

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・発達障害の診断には、どこの精神科医療機関でできるものではなく、それを行っている医療機関を探して受ける。
・ 発達障害者支援センター(精神科全般>4-5.就労・生活・福祉などの相談先>[4])は、各都道府県にあり。

参考文献

[1]John S. March (著), Daniel Carpenter (著), Allen Frances (著), David A. Kahn (著), 大野 裕 (翻訳) 「エキスパートコンセンサスガイドライン 強迫性障害(OCD)の治療」ライフサイエンス